クリップ
概要
ー クリップ 1 出演者のみなさん 認知症とのかかわり ー
認知症対策の第一線で活躍する3人のパネリストたちが、医療や介護、家族の立場から認知症とのかかわりについて語りました。植村桂次医師は「ここ2~3年は軽症の段階で受診する人が多くなっていることに触れ「早期に治療を開始することによって、安定した状態を保てる人が増えている」と評価。グループホームの施設長として介護に携わる中川貴弘さんは、「本人が望むケア」の重要性を訴えました。小川洋子さんは家族の立場から認知症の人の介護の大変さに触れ、「周囲の理解が必要」と話しました。(2:49)
ー クリップ 2 認知症の基礎知識 原因疾患 ー
認知症を早い段階で発見するためには、症状を知っておくことが大切です。最も気づきやすい症状のひとつが「もの忘れ」ですが、年のせいによる自然なもの忘れとは違った特徴があります。会場では植村医師が、認知症の疑いのあるもの忘れについて、具体例を挙げながら紹介しました。認知症の人の脳で生じる変化をMRIの画像を示しながら説明。さらに、認知症には最も多いとされるアルツハイマー型以外にも、(脳)血管性やレビー小体型などさまざまな原因疾患があること、原因疾患によってはもの忘れ以外の症状のほうが目立つこともあることなど、早期発見に役立つ情報がたくさん盛り込まれました。(3:51)
ー クリップ 3 認知症の診断と治療 抗認知症薬の効果 ー
認知症では正しく病気を診断することが、治療の第一歩になります。認知症の疑いがある場合には、問診、認知機能テスト、画像といった検査が行われますが、中でもSPECTという最新の検査法は、脳の血流の状態を画像上で確認できるため、認知症の原因疾患まで診断することが可能です。現在、治療の基本は抗認知症薬を使う薬物療法で、2011年からは新薬も含め4種類の薬が使えるようになりました。薬で認知症を完全に治すことはできませんが、早い段階から適切な治療やケアを開始することで病気の進行を抑え、長い期間安定した状態を保つことが可能です。(4:45)
ー クリップ 4 認知症の症状 BPSDへの対処 注目される漢方薬 ー
認知症の症状は、中核症状と周辺症状に大別できます。中核症状は認知症になれば誰にでも現れる症状ですが、周辺症状(BPSD)は人によって現れ方がさまざまで、対応も難しいことから、介護する家族には大きな負担となっています。かつてBPSDの治療は抗精神病薬など薬を使って症状を抑え込む方法が主流でしたが、近年は回想療法や音楽療法といった非薬物療法で症状を改善しようという流れに変わってきています。また、漢方薬もBPSDの有力な治療法のひとつとして使われる機会が増えました。中でも抑肝散という薬は、イライラや不安などの精神症状を抑える効果が高いと期待されています。(4:32)
ー クリップ 5 パーソンセンタード・ケア ケーススタディ ー
「認知症の人は何もできない」と考えてしまいがちですが、実際にはできることはたくさんあり、意志や感情も残っています。近年は、本人の気持ちを想像し、希望に沿って介護する「パーソンセンタードケア」が導入されるようになりました。パーソンセンタードケアの考え方や手法は、施設などの介護職だけでなく家族も活用できるものです。会場では、「もの盗られ妄想」の事例を挙げて、説明しました。(3:39)
ー クリップ 6 徳島からのメッセージ ー
徳島市では若年性認知症を念頭に置いて、40歳以上を対象に「もの忘れ検診」を実施しています。植村さんは、早期発見、早期治療の重要性を訴えました。中川さんは最も伝えたいこととして「認知症になってもあきらめず、立ち向かうこと」を挙げました。自身も介護のつらさを経験した小川さんは「家族は一人で抱え込まず、友だちを作りましょう」と語りかけました。(2:55)
【2012年5月17日公開】
出演者
植村 桂次(うえむら・けいじ)さん
医療法人 睦み会 城西ビオスクリニック 院長
徳島大学医学部卒。認知症の人を支える地域医療体制の構築に力を注いでいる。認知症、もの忘れ外来担当、精神保健指定医、認知症サポート医。
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中川 貴弘(なかがわ・たかひろ)さん
グループホーム阿南向日葵 施設長
阿南市在住。2003年にグループホームを開設。利用者がいつまでもその人らしく暮らすことのできるケアを目指している。阿南市の家族介護者支援員。
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小川 洋子(おがわ・ようこ)さん
認知症の人と家族の会 徳島県支部 副代表
義父を自宅で看取った後、認知症になった姑を介護。4年7か月の在宅介護の後、看取る。認知症の啓発に力を注ぎ、介護家族の相談等を続けている。
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